慣れない仕事をする時や、普段を違う状況で話す時など、緊張や不安を持つのは誰にでも当てはまることです。
しかし、人前で失敗したり、恥ずかしい思いをした経験が引き金となって、日常生活でも緊張や不安が続き、支障が出る場合があります。
いわゆる「対人恐怖症」と呼ばれているものです。。
対人恐怖症とは?
対人恐怖症とは、人前で行動したり、人と接する時に緊張や不安感を感じ、そのことがさらに苦痛となったり、人との接触を避けようとする症状です。
この緊張や不安、苦痛は、自然に収まることは難しいです。苦痛を感じる自分に対し、心が弱いと責めたり、劣等感を感じたり、悪循環を生む可能性もあります。
対人恐怖症の影響は声にも現れます。
人と話す時、電話の対応などで緊張して声が出なくなったり、「お前の話し方変だなw」と言われるかもしれないと不安に感じ、しゃべるのが怖くなる、などなど……
自分でもなんとかしないといけないと考えていても、身体の緊張は解けず、コミュニケーションが取れないことに苦しんでいる方もいらっしゃるかと思います。
対人恐怖症の治療は、お医者さまの診断のもとに、薬物による治療を行ったり、認知行動療法により、不安にとらわれる思考を変える方法が取られています。
今回は、ボイス&メンタルトレーニングが対人恐怖症の方にお手伝いできることとして、緊張や不安の軽減方法をお伝えします。
対人恐怖症を和らげるために、心の緊張や不安を軽減させる3つのボイストレーニング方法
1.「自分軸」を身体から作る「水ジャージャー」
1つ目は、水ジャージャーというアマートムジカ・オリジナルのイメージ法です。
ボイストレーニングを行う際、声を安定して伸ばす姿勢づくりのために使っています。しかし、声だけでなく、メンタル面を安定させるのにも非常に有効な方法なのです。
対人恐怖症にお悩みの方は、他人からどのような評価をされているかを強く意識します。しかし、その評価を作り出しているのは他ならぬ自分自身です。実際に他人がどう思っているかに関わらず、「こう思われているんじゃないか」と考えずにはいられないのです。
そんな、「他人軸」に考え方が傾いている場合に有効なのが、「水ジャージャー」のイメージ法です。
身体がリラックスし、自然と丹田に重心が定まった姿勢をとることができます。よく「肚が据わってる」「肝が据わっている」という表現がありますが、それは、丹田に重心が定まった姿勢のことを差しています。
身体の安定感が、心の安定感を作り、ひいてはそれが「他人軸」から「自分軸」で物事を見定める心も生み出せるのです。
「水ジャージャー」の実施方法については、以下の記事もご参照ください。
あがり症を克服するための方法「水ジャージャー」とは?
2.通る声の土台を作る「あごのもみほぐし体操」「ららら体操」
次にお伝えするのが、顔周囲の筋肉をほぐし、はきはきとした声を出す土台となる、「あごのもみほぐし体操」と「ららら体操」です。
不安により話すことを避けている人は、自然と表情も硬くなりがちです。舌やあごが緊張で固くなると、ますます話し方がぎこちなくなり、自分にマイナスのセルフイメージを背負わせることになります。
そこで、固くなったあごや舌をほぐしていきます。
滑舌が良くなり話しやすくなるのと同時に、表情の変化もつけやすくなり、自分の話し方を観察した際に、より自信をつけやすくなります。
3.声質が良くなり、セルフイメージがアップする「母音の発音」
3番目は、発音の仕方を変えて、声の響きをクリアにしていきます。
話す内容や言葉遣いをいくら練習しても、声そのものがキンキンした固いものだったり、こもっていたりすると、相手にうまく伝わりません。発音の仕方を変えることで、明瞭で聞きやすい声質になり、話す内容もより分かりやすくなります。
変えるのは、「あいうえお」の母音の口の形だけOKです。母音の響きが変わるだけでも、話全体の印象が変わります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
初公開!カラオケでうまく歌うためのもう一つの「コツ」とは?「母音の発音」をマスターすれば、うまさ2倍増し!
身体と声を変えてセルフイメージを変える
身体や声の変化は、思った以上に心に影響を及ぼします。
身体がリラックスすることで、心の平静さを保ちやすくなり、声の響きが変わることで、その声を一番身近で聞いている自分自身の印象も変わります。
ぜひ試してみてくださいね。