「話し方を変えたい!」と強く願っているものの、うまくいかずに気持ちが空回りしている人も多いのではないでしょうか。
「自分の声と話し方が嫌い」と思っているのなら、1日でも早く変えたくなるでしょう。しかし、声の出し方や話し方を自分なりに工夫しているつもりでも、なかなか直らないと絶望的な気持ちになるかもしれません。
上手に話せるようになるには、話し方のコツを知ることです。
この記事では、話し方を変えたい人向けに、良い印象を与える声の特徴や簡単な喋り方改善テクニックなどについてご紹介します。
上手な話し方とは何かを知る3つのポイント
「上手な話し方」というと、何をイメージするでしょうか。
イメージには個人差がありますが、人が「上手な話し方だな」と感じる要素は以下の3つです。
- 話す時の態度
- 話す時の声
- 話す内容
つまり、上手な話し方とは何かを知るには、
- 好感が持てる態度
- 聞き取りやすい声
- 分かりやすい内容
について理解することといえます。
各ポイントについて見てみましょう。
1. 好感が持てる態度
ここで言う「態度」とは、話し手の姿勢や顔の表情、立ち居振る舞い(ジェスチャー)のことを指します。
話す時の態度が話し方の良し悪しに関係するのは、視覚的な訴求力があるからです。視覚的に訴えることで、話の内容を相手に印象づけるとともに、理解を促すことが期待できます。
上手に話すための態度として、以下のような特徴が挙げられます。
- 姿勢が良い
- 内容に合わせてジェスチャーを効果的に使う
- 話の内容によって顔の表情を使い分ける
- 落ち着いた雰囲気が漂っている
2. 聞き取りやすい声
声の良し悪しは、話し方にダイレクトに影響します。
声は、言いたいことを伝える手段。聞きづらい声で話されると、相手は話の内容を理解できずに、ストレスを感じるようになるでしょう。
聞き取りやすい声には
- ちょうど良い声の高さ(音階「ソ」の音が目安)
- 聞き取りやすいボリューム
- 話の内容を理解するのにちょうど良いペース
- 抑揚がある
- 一語一語がクリア
といった特徴があります。
3. 分かりやすい内容
「話す内容」も、上手な話し方の大事なポイントです。
いくら立ち居振る舞いが美しく良い声で喋ったとしても、話の内容が分かりづらければ正確に情報を伝えることは難しいでしょう。
誰が聞いても分かりやすい話し方の主な特徴は、以下のとおりです。
- ストーリー性がある(頭の中でイメージしながら聞ける)
- メッセージ性が高い(何が言いたいのか難なく分かる)
- 信ぴょう性がある(なぜそう主張するのか、納得できる)
- 数字やたとえ話を適度に取り入れて説明する
上手な話し方のポイントについてご紹介しましたが、「ハードルが高くて私には無理」と感じたかもしれません。これはあくまでも理想です。いきなりこのレベルに到達できなくて当然で、一歩一歩近づけば良いと考えましょう。
声と話し方の悩みをどうやって克服するか、次の章から誰でも簡単にできる方法をステップ形式でご紹介しますので、今後の参考にしてください。
ステップ1:理想の声や話し方をイメージする
最初に、どのような声や話し方を身につけたいのかイメージしてみましょう。このイメージした自分の姿が、ゴールです。ゴールを設定しないと、変え方を決めることができません。
イメージの方法ですが、あこがれの人や芸能人など、特定の人を参考にするとやりやすいでしょう。
「理想が高すぎるかも」といった心配は無用です。ここで大切なのは、具体的にイメージするということ。イメージは、具体的であればあるほど、達成しやすいからです。「こうなりたい」という純粋な気持ちに耳を傾けて、自由に想像しましょう。
イメージしたら、それを紙に書き出します。
例:○○アナウンサーのような声、・大勢の前でも姿勢を正して、堂々と振る舞える など。
理想の人の写真やスケッチを添えるのも効果的です。
理想の人物がいない場合
ゴールは設定したものの、理想とする人が思い浮かばないという場合は、次のことを実践してみましょう。
- 自分の声を録音する
- ①を聴き、喋り方や声の出し方などをチェックする
- ゴールと照らし合わせて、どの部分を改善していけばよいかを明確にする
「自分の声は聞きたくない!」と思うかもしれません。
しかし、現実と理想との間にあるギャップを知らなければ、実際にどのように問題を克服するかを決めることが難しくなるでしょう。
事前に
- ボリュームは?
- ペースは?
- 抑揚はあるか?
- 言葉をはっきりと発しているか?
などの項目を入れたチェックリストを作成すると、客観的に自分の声を把握しやすくなります。
ステップ2:ゆっくり話すことを心がける
理想の声や話し方をイメージした後に取組んでほしいのは、「ゆっくり話す」ということです。ゆっくり話すことは、やろうと思い立ったその時点で実践できますし、意識するだけで早口になるのを抑えることができます。
それと並行して、発音の練習をしましょう。
声の質は生まれつきもありますが、「嫌な声」になるのは、背筋が曲がったり喉が閉じたりするなど、長年の生活習慣による「声の出し方」が原因という場合がほとんどです。言い換えれば、トレーニングを重ねることで、理想の声に近づけるということです。
誰でも簡単にできるトレーニング方法を3つご紹介します。
①しっかり口を開いて母音を発音する
母音とは「あいうえお」のことです。
意識的に口を大きく開けて「あ・い・う・え・お」と、ていねいに発音することから始めましょう。
②あくびをした時に声を乗せるイメージをする
私たちはあくびをする時、大きく息を吸ってそのまま吐き出しています。
これが「喉の奥が開いている」状態です。
鏡を見て確認することはほぼ不可能ですが、「あ、喉の奥が開いている」という感覚は体験しやすいでしょう。息を吐き出す時に声を乗せるイメージすると、「喉が開いて良い声が出る」という感覚をつかみやすくなります。
③猫背を改善する
声を発生する時に使うのは、呼吸筋と呼ばれる筋肉です。猫背になると呼吸筋の働きが悪くなるため、声が出しにくい、滑舌が悪くなるなどのトラブルにつながります。
猫背を改善するポイントは、立った時に
- 肋骨(ろっこつ)を引き上げる
- 肩甲骨(けんこうこつ)を下げる
の2つです。
注意するのは、無理に背骨を伸ばそうとすること。腰痛を引き起こすことがありますので、気をつけましょう。
ステップ3:イメージに近い”人”になり、身ぶり手ぶりを交えて話す
声の出し方に慣れてきたら、ジェスチャーを入れて話す練習をしてみましょう。一番簡単な練習方法は、目標としている人の喋り方や振る舞いをまねることです。
「まねをするなんて」と、ネガティブに考えることはありません。その人になりきる狙いは、できるだけ早く理想に近づくことです。上手に話す”型”があれば、たとえ自信がなくても取りかかりやすいのではないでしょうか。その型となるのが、イメージに近い人なのです。
もし理想とする人が思い浮かばない場合は、背筋を伸ばすようにしてさっそうと立ち、両手を広げ、胸を張ってみましょう。
これは「ハイパワー・ポーズ」という姿勢ですが、ハイパワー・ポーズをとると、体中に自信がみなぎってくる感覚を覚える人もいます。
ハイパワー・ポーズは1日1分程度の実践で効果があるといわれていますので、練習に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ステップ4:相手に伝えやすい話し方を実践する
いよいよ最後のステップです。
話し方のコツはいくつかありますが、ここでは話し方の基本である「概要を伝えてから詳細を話す」方法をご紹介します。
「概要を伝えてから詳細を話す」方法とは何か
これは、話すテーマを先に伝え、続けて各詳細を説明していくという方法です。
次のAとBの会話では、どちらが分かりやすいでしょうか。
A「電車が1時間ほど遅れたそうです。いつも乗っている電車だったんで、びっくりしましたよ。昨日○○の踏切で事故が起きたんですって。車と電車が接触したようです」
B「昨日○○の踏切で事故が起きたんですよ。車と電車が接触して、その影響で他の電車も1時間ほど遅れたそうです。いつも乗っている電車だったんで、びっくりしましたよ。」
ほとんどの人がBと答えるのではないでしょうか。
Aは頭に思いついたことをそのまま口に出しているような話し方で、概要から詳細を説明しているのがBです。
概要から詳細を説明するには少し頭を使いますが、慣れれば難なくできるようになります。そのためにも、日頃から目にしたものについて、概要 → 詳細の順で説明してみましょう。
例えば、お皿に盛り付けられた料理を説明するとします。
・概要(料理全体):
「今日のお昼は、サンデーロースト。イギリスの伝統料理です」
・詳細(各料理の紹介):
「柔らかそうなローストチキン。ホイップクリーム?と間違えそうなほどふわふわなマッシュポテト。ブロッコリー、人参、コーンなど、カラフルな野菜がお皿を彩ります」
食べ物の他にも、日常の一コマを描写したり見たテレビ番組について説明したりと、身近にあることを題材に練習してみましょう。
「うまく話せなくていい」と割り切ろう
話すことに不安を覚えていると、練習が進まないかもしれません。そんな時は「今はうまく話せなくていい」と割り切りましょう。
「上手な話し方を」と言うと、「うまく話さなくては」と考えてしまいがちです。しかし、最初の頃はあまり構えない方がうまくいきます。うまく話すことに意識が集中してしまうと、「うまく話せなかったらどうしよう」と不安が大きくなり、何も話せなくなってしまう可能性が高くなるからです。
話し方に苦手意識があるうちは、そういう自分を受け入れて、できる範囲で話すのが一番です。期待どおりに話せなくても落ち込まずに、練習を重ねていきましょう。
声と話し方の根本的解決方法は、正しい発声練習とメンタルブロックを外すこと
これまで声と話し方の変え方について、テクニカルな部分についてお話しました。
ご紹介したのは簡単にできる方法ですが、実践してみて「どうしてもうまくいかない」と感じるかもしれません。
その場合は
①正しい発音練習を身につけているかどうか
②メンタルブロックにとらわれていないかどうか
の2点を振り返ってみましょう。
正しい発音練習を身につけることの大切さ
ちょうど良い声の出し方を知っていても、声を出す土台がしっかりしていないと良い発声はできません。
「声を出す土台がしっかりしている」状態というのは
- 喉の奥が開いている
- 呼吸が深い
- 姿勢が正しい
という条件がそろっていることです。これらの条件が1つでも欠けると
- 声が小さい
- 声がこもる
などのトラブルが生じます。
良い声を出す土台作りに欠かせないのが、正しい発声練習です。
正しい発声練習方法は一つではないため「これだ」と断言するのは難しいのですが、良い声を出す土台を作れるかどうかが判断材料になるでしょう。
練習しても声や発音が改善できていない場合は、今取組んでいる方法を見直した方がよいかもしれません。
メンタルブロックを外すことの大切さ
「メンタルブロック」とは、物事をネガティブに捉える心の状態のことです。成功するという気持ちよりも、不安や恐怖が大きくなるため「何をやってもダメだ」という固定観念にとらわれる傾向にあります。
自己否定が強いままだと、どんなにテクニックを身につけても「私がうまく喋れるわけがない」と自らブレーキをかけてしまい、理想の話し方に近づくことが難しくなります。
もし、練習を積み重ねてもネガティブな方向に考えて自信が持てないというのなら、メンタルの状態を整えることも含めた練習方法を検討してみましょう。
正しい発声練習やメンタルブロック解除の大切さについて別々に説明しましたが、理想は両方をセットで考えることです。なぜなら、上手な話し方は、声・身体・心のバランスの上に成り立っているからです。
自分でこのバランスをとりながら練習することも可能ですが、自分でするには難易度が高すぎる、客観的なアドバイスが欲しくなるなど限界を感じるかもしれません。その場合は、専門家によるボイストレーニングを受けることをおすすめします。
まとめ:自分を信じて理想の話し方を身につけよう
嫌いな声や話し方を変えるコツについてご紹介しました。
具体的な変え方は、以下4つのステップを踏みます。
- 理想の声や話し方をイメージする
- ゆっくり話すことを心がける
- イメージに近い”人”になり、身ぶり手ぶりを交えて話す
- 相手に伝えやすい話し方を実践する
テクニックも大切ですが、うまくいかない場合は
- 声または発声そのものを変える
- メンタルブロックを外す
ことも視野に入れたトレーニングを検討してみましょう。
適切なトレーニングを積めば、誰でも良い声・上手な話し方に変えられる可能性があります。
「話し方を変えたい」という自分の気持ちを大切にして、声や喋り方の改善に取組みましょう。
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